君に恋した冬
第20章 真実に辿り着いて…
『あ…。』
おばさんの病室の近くまで来て
病室から出てきた恭介とばったり出くわしてしまう。
恭介もすぐこちらに気付き、ゆっくりと近付いてくる
「その感じだと、うまくいったみたいだな」
ふわっと笑って由梨の頭をポンと撫でた
『恭介……色々、ありがとう』
「俺は何もしてないよ。あんたが頑張ったんだろ」
ギュッと胸が締め付けられる
こんなにも優しい恭介に甘えてばかりいて
それなのに自分はアキラが好きで好きでたまらなくて
どれくらい傷つけただろうか…
『本当にありがとう…』
返事をする代わりに、またポンと頭に手を乗せてそのまま恭介は歩いて行ってしまった
ありがとう…恭介…
落ち着いたら、子供の事もちゃんと話すから…
心の中でもう一度お礼をしてから視線をアキラへと移した
そのままアキラは黙っておばさんの病室のドアをノックした
「はーい」
中から招き入れる声がして、そっと扉を開いた