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君に恋した冬

第21章 家族





二人でおばさんの病室に訪れると
それを見たおばさんとおじさんは固まってしまった



『…っ?』



すごく驚いた顔をしていて、それとは対照的にアキラはまたしても無表情だった



「由梨ちゃんに…晄…まで…」



わなわなと口を開いたおばさんの肩におじさんがそっと手を置いた




アキラはベッドサイドの椅子へ由梨を促して座らせ、自分はその横に立つ



「久しぶり…父さん、母さん…

来るの遅くなってごめん」



アキラは静かに口を開いた



「いいのよ…来てくれただけでも嬉しいわ…。
由梨ちゃんも…ありがとう」


『いえ…』



間髪入れずにアキラは真剣な表情で両親を見つめ



「由梨に全部話した」



「えっ…!」



また驚いた表情になって、少しの戸惑いが見え隠れする



ここは…黙っておいた方がいいかな…?



由梨はアキラとご両親の話を
小さくなりながら聞いていた



「でも…まだ全部思い出してない。

俺の話を聞いても…俺を嫌いにならなかったし
俺がいいって言ってくれた」



「……」



「……子供がいるんだ…」



「なっ…!」



おばさんは口に両手を当てて目を見開いている


今まで黙っていたおじさんが急にアキラへと近付いてきて、その頬を勢い良く叩いた




パンッ……




静かな病室に、その音は余計に響いた




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