君に恋した冬
第21章 家族
アキラはよろけながらも叩かれた頬を押さえる事もなく、真っ直ぐ立って父を見据えていた
「あなた…っ!ゴホッゴホッ」
『っ!おばさん…っ』
咄嗟に咳き込んでしまったおばさんの背中をさすりながら、二人のやり取りをハラハラしながら見つめる
アキラの頬を叩いたおじさんの手が少し震えていた
「お前は…ずっとフラフラして、何をやっとるのか全然知らせもせんと…
いきなり姿を見せたと思ったら、よりにもよって白川のお嬢さんに…!」
おじさんは何かを噛み締めるように、震えた声で話す
アキラはそれを黙って聞いていた
「……」
「自分が何をしたかわかっているのか!!!」
もう一度手を振りかざしてアキラに殴りかかろうとするおじさんに
由梨は咄嗟に駆け出して、その手をギュッと握った
『やめてください…!』
「由梨、黙ってろ」
その行動に、アキラの冷たい視線が由梨を射抜く
ダメ。アキラは全部自分が悪い様にしようとしている。
そんなのは絶対ダメ…!
『私が勝手に生んだんです!
晄君に相談もなしに、知らせもしないで…
自分で決めて生んだんです!』
「由梨!!」
『いいからアキラは黙ってて!!』
ビクッとして、アキラは驚いた表情になり口をつぐんだ
握ったおじさんの手をそっと離して、真っ直ぐにおじさんの目を見て話し出す
おじさんは戸惑いが隠せない様子だった