君に恋した冬
第21章 家族
それからすぐに出生届と婚姻届を提出した。
最初は未来と名付けたが、提出するときに、二人で考えた名前にした。
勇希【ゆうき】
勇気と希望を合わせた名前。
二人の愛の結晶だからと決めた名前。
保育器の名札には【浅井勇希】と書かれ
それがまた二人を喜ばせた
それから数ヶ月が経って
もうすぐ子供が退院するという事もあり
今まで籍は入れてても別々で暮らしていた二人だが
アキラの卒業と就職が確定した事もあって
この機会に一緒に暮らす事にした
由梨は、両親の残した遺産である家を
賃貸契約として貸し出す事に決めた
売ってしまうのは少し心苦しいものがあった
引っ越し先も決まって、それに向けて家の中のあらゆる場所を片付けたり、掃除したりと
連日慌ただしく動き回っていた
これまでなんとなく距離を置いてきた両親の寝室
衣服などを見てギュッと胸が締め付けられる思いだったが
可燃ゴミの袋に入れて、少しずつ作業を進めていった