君に恋した冬
第21章 家族
淹れた緑茶をアキラの座る前にそっと置いて
その隣に由梨も腰掛けた
『いただきます』
アキラが買ってきてくれた肉まんを
二人で黙って食べる
この沈黙が好き…
和やかな空気がそこには流れていた
「片付け…進んでるか?」
『うん。あと少しで全部終わるよ』
「そうか」
残る部屋は両親の寝室と自室だけだった
『勇希はどうだった?』
「ああ…すげぇ機嫌悪くて
ぎゃんぎゃん泣いて大変だった」
ふっと笑って由梨の頭をそっと撫でた
「やっぱり母親じゃねぇと駄目なんだろうな」
今日は片付けに専念するために
子供の所へはアキラに行ってもらうようにお願いしていたのだ。
母親…なんだかまだ実感がないけれど
これから家族3人で暮らす様になれば
自然に湧いてくるのかな…?
由梨は近い将来を思い浮かべて
照れたように笑った
「俺も手伝うから、今日中に終わらそう」
『うん、ありがとう』
そうして残りの肉まんをまた黙って食べた