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君に恋した冬

第21章 家族






読み終えた時には、由梨もアキラもしばらくその場で動けないまま固まっていた



これは…お母さんの遺書…


お葬式であんな事言わせてしまって…?


…駄目…思い出せない…



「これ…お前の…」


アキラが動揺して少し揺らめく瞳を由梨に向ける



『アキラ…私…思い出したい…』


「…由梨……」



私の小さい頃に何があったのか…
当時の私は何を見ていたのか…


思い出したい…!



気づいた時には走っていた

アキラも慌てて後を追ってくる気配を感じたが
由梨は一目散に自室へと走った



何か…何か手掛かりが…!



必死になって机の中や本棚
クローゼットの中を、半ば荒らすような形で探す


そこで、クローゼットの奥の方に、箱の中にしまわれた一冊の古ぼけた自由帳を見つけた



『…っ!』



少し震える手で、ノートを開く動作すらもどかしく感じながら1ページずつ順に追っていく



そして、最後のページに差し掛かった時には
由梨の瞳には涙が溢れ、その頬をポロポロとつたっていた




これは………私の……日記……




そこで一気に頭の中に当時の記憶がフラッシュバックする



『った…!』



ズキズキッと頭に痛みを伴いながら
ワンシーンも残さずに浮かび上がってくる



私……の……記憶………



その事実に、由梨は膝をついてその場に倒れ込んだ




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