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君に恋した冬

第21章 家族




由梨へ


あなたを置いて、先に逝くことを許して下さい。

私達は、長年の不妊治療でようやくあなたを授かることが出来ました。

けれどお父さんは、ずっと男の子を望んでいて、あなたが女の子だと解った時から私に冷たく当たる様になりました。


それはあなたが生まれてからも変わらずに続きました。


由梨。あなたがお父さんからどの様な仕打ちを受けていたか、全て知っています。


あなたが私に助けを求めていた事も知っています。


だけど、私はあなたを救う所か、あなたに暴力を振るうお父さんを…自分の気持ちを優先してしまいました。


あんなに待ち焦がれて、やっとあなたに会えて
あんなに愛していたのに…ごめんなさい。



いつしか私まで
あなたを愛せなくなってしまっていた…。


お葬式で、あなたを叩いてしまった事
本当に後悔しています。


あなたに泣きながらあんな事を言われて…
ううん。言わせてしまって
本当にごめんなさい。



私には、あなたのお母さんで居られる資格は無い。


ずっと見てみぬふりをして、あなたを孤独にして
つらい思いをさせてしまった事、
本当にごめんなさい。


どうか、こんな弱い母の事を許して下さい。


そしてどうか、あなたを愛してくれる人と
幸せになって下さい。


由梨…愛してやれなくて、ごめんね。



                母より







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