君に恋した冬
第1章 受験シーズン
学校は普段と何も変わらず、
住む世界の違う大智とは
朝の挨拶以外、一言も言葉を交わさずに
最終授業を迎えた。
「今から進路希望調査をします。
紙に自分の進路希望を書いて提出して下さい」
担任の言葉で皆が口々に
進路の話を始める。
やれどこどこは制服が可愛いだとか
やれどこどこは先輩後輩関係が厳しいだとか
どれもこれも由梨にはどうでもよくて
ただ大智の進路先が気がかりだった。
一緒の高校に行きたい…
でも、やっぱり迷惑かな
ただの幼なじみがそこまでしたら
気持ち悪いかな…
でも偶然だよって言えば済む問題かもしれないし…
またいつもの考えが頭をループする
そして盛大にため息を漏らす
はああぁぁー
がっくりと頭を机につけて
結局その日は白紙で提出したのだった。