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君に恋した冬

第3章 さよなら





『いやっっ』



グイッと顔を背け下唇を噛み締める


「何。キスだけは嫌とかそんなやつ?」


ギュッと手に力が入る。


何を言われてもいい。

馬鹿にされてもいい。

キモいって思われてもいい。


でも、私は大智くんの残した跡を
失いたくない。

例え嫌われていても

今の私には、これしか大智くんと
結びつくものがないから



『お願い…キス以外なら、何でも…
しますから…』



由梨の瞳からは大粒の涙がこぼれ落ちる

キツく握りしめた拳は白くなり
噛みしめた唇からはうっすらと血が滲む

固定された結束バンドが
余計に腕に食い込み

顔はふるふると小さく震えていた




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