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さよならから始まる恋物語【Love story】~雪の女王~

第4章 SideⅣ(沙絢)~雪の女王~

 幼い子ども連れの若い夫婦はゆっくりと沙絢たちの前を通り過ぎていった。遠ざかってゆく幸せそうな家族の姿を見送りながら、沙絢は言うともなしに言った。
「ママが私を置いて出ていったのが今から十年前。丁度、クリスマスの朝だった。―私の誕生日でもあったの。眼が覚めたら、昨日まで確かにいたはずのママの姿が消えていて、代わりに枕許にプレゼントが置いてあったわ。外国製らしい綺麗な絵本。もちろん、日本語訳のものだから、私にも読めた。その絵本のタイトルが〝雪の女王〟だった」

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