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さよならから始まる恋物語【Love story】~雪の女王~

第4章 SideⅣ(沙絢)~雪の女王~

 池のほとりに佇む母親らしい女性は微笑んで手を振り返していた。白鳥ボートとすれ違う瞬間、ちらりと見た父親は汗だくでボートを漕いでいる。あちらにはすれ違うこちらを見るゆとりはなさそうだ。
「お父さんは一生懸命ね。微笑ましいわ」
 沙絢が呟くと、ふいに光樹が言った。
「お前も家族を作れば良い」
「え?」
 意味を掴みかねて光樹を見つめた沙絢から、何故か彼は紅くなって視線を逸らした。

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