さよならから始まる恋物語【Love story】~雪の女王~
第6章 SideⅥ(沙絢)~恋人たちの聖夜~
沙絢は、あっと思わず声を上げそうになった。
カップに乗った沙絢は向かいに座った彼に確かにそんなことを言った。
あの直前、光樹が彼女に好きな花はと訊いてきたからだ。
―そうねえ、私が好きなのは薔薇、カーネーション、それから紫陽花。あ、かすみ草も好きだわ。かすみ草は父の好きな花だったの。目立たなくて控えめだけど、いつも花束では主役の大輪の花を引き立てる脇役なところが良いって、いつも言ってたのよ。
カップに乗った沙絢は向かいに座った彼に確かにそんなことを言った。
あの直前、光樹が彼女に好きな花はと訊いてきたからだ。
―そうねえ、私が好きなのは薔薇、カーネーション、それから紫陽花。あ、かすみ草も好きだわ。かすみ草は父の好きな花だったの。目立たなくて控えめだけど、いつも花束では主役の大輪の花を引き立てる脇役なところが良いって、いつも言ってたのよ。