テキストサイズ

さよならから始まる恋物語【Love story】~雪の女王~

第6章 SideⅥ(沙絢)~恋人たちの聖夜~

 父にとって、かすみ草のような母は幻想だと判りきっているのに、ずっと母はかすみ草のような女だと信じていたのかもしれない。
 母は嫌いだけれど、父の好きな花は沙絢にとっても大好きな花の一つになった。
「そういえば、光樹さんが私に好きな花とか食べ物とか色々質問してきて、私が応えたのよね」
 カップに乗っている間に、光樹の顔色がどんどん悪くなり、話どころではなくなった。沙絢も好きな花の話のことなど、それきり忘れてしまったのである。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ