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さよならから始まる恋物語【Love story】~雪の女王~

第6章 SideⅥ(沙絢)~恋人たちの聖夜~

「明日の夜六時。俺たちが初めて出逢った屋上に来て」
 なめらかで艶のある声がかすかに掠れている。いつもより深みを増した声が耳朶を掠めた刹那、得体の知れない快感が身体を駆け抜けたような気がした。
―今のはなに?
 自分でもつかみ取れない感覚に戸惑った沙絢がふと現に戻った時、既に長身の後ろ姿はイブで混雑する地下街の人波に消えていた。

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