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さよならから始まる恋物語【Love story】~雪の女王~

第1章 SideⅠ(光樹(みつき))~あたし、明日、死ぬんだ~

 そう思っても何もしてやれない自分の無力さが哀しい。通りすがりの人が呼んでくれたのか、遠くから救急車のサイレンの音が近づいてくる。俺は無意識の中にジャンパーのポケットを探った。
 ガラケーを震える手で握りしめ引っ張り出した。ようようボタンを押すと、先ほどかけ間違えた電話番号が出てきた。
―こんな俺でも、まだ誰かのために役に立つことができるかもしれない。

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