さよならから始まる恋物語【Love story】~雪の女王~
第2章 SideⅡ(沙絢(さあや))~デートの約束~
沙絢が何も言わないで黙(だんま)りを決め込むと、男は更に言葉を重ねる。
「お前、今、死のうとしてただろ」
「それよりも前にこの手を放して」
沙絢は低い声で言った。何しろ男ときたら、沙絢を逃すことを怖れでもするかのように両腕をしっかりと彼女の身体に巻き付けて拘束しているのだ。
「放さない。もし手を放したら、その隙にお前はここから飛び降りるかもしれないから」
「放さないのなら、痴漢、変質者だって叫ぶわよ」
「お前、今、死のうとしてただろ」
「それよりも前にこの手を放して」
沙絢は低い声で言った。何しろ男ときたら、沙絢を逃すことを怖れでもするかのように両腕をしっかりと彼女の身体に巻き付けて拘束しているのだ。
「放さない。もし手を放したら、その隙にお前はここから飛び降りるかもしれないから」
「放さないのなら、痴漢、変質者だって叫ぶわよ」