テキストサイズ

さよならから始まる恋物語【Love story】~雪の女王~

第2章 SideⅡ(沙絢(さあや))~デートの約束~

 その言葉が沙絢の最後の心の砦を壊してしまったようだった。ずっとずっと我慢してきた。男の腕の中で泣きじゃくりながら、沙絢の脳裏をこれまでの出来事がフラッシュバックしていった。
 大好きな父が亡くなったときも、沙絢は泣かなかった。高校の制服であるセーラー服を着て黒いリボンに包まれた父を胸に抱きしめながらも、涙ひと粒零さなかった。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ