残業・メモ子
第23章 想像
「おまちどうさま…」
石割が私の前に野菜スープを置いた
私は、いつものようにファミレスで夕飯を食べていた…
野菜スープだけだが…私はこれだけで十分だった
「…芽依子さん…メモしながら…笑ってましたよ?
何かいい事でもありましたか?」
私と石割は…少しだけだが、会話をする時もあった…
基本、客と店員だが…不思議な距離感の間柄となっていた…
私は、眼鏡を外し…メモ帳に…コメントを書いていた
「…ちょっとね…」
「///…変な…芽依子さん…」
石割は…私の事を…“芽依子さん”と読んでくれる…
会社では“黒沢さん・黒沢くん・黒沢!”と…苗字が多かったから…
下の名前で呼ばれると…ドキドキしてしまう…
影男を想像しただけで…こんなにも気持ちが楽になるとは…思わなかった…
私はメモ帳をかばんに終うと…野菜スープを一口飲んだ…
胃にすーっと入るスープが…
今日の緊張やドキドキを一緒に体に染み込ませる…