残業・メモ子
第31章 迂回
仕事中も…ドキドキがつづく…
緊張して…喉が渇く…
私は、仕事の合間を見て…食堂のある階へ、お茶を買いに来た――――…
まだ…勤務中――――…
誰もいないと思っていた――――――――――…
『……藤原さん…?』
誰もいない食堂の自販機の前…
いくつか置いてあるソファに…
缶コーヒーを飲みながら…スマホを操作している藤原さんの姿…
運命…かもしれないと…
怖くなった――――――…
そして…その姿の…美しいこと…
見とれてしまう…
長い睫毛が…瞬きする度に…鳥のように羽を広げる…
………今しか…
ないかも――――――…
私は…不意に訪れたチャンスを掴むことにした…
『…あの………』