残業・メモ子
第45章 困笑
伊藤の……姿が視界から消えると…
私は……崩れるように…ベンチに座った…
『はぁ…ぁ…』
力が……抜けた……
何だったんだ…あの女…
「おい!!!芽依子!!!」
『…はい?』
呼び捨てかよ!って食ってかかろうと思ったが…
力が入らず…ふぬけた声が出た…
「!!!何で――――――」
藤原の顔が……苦虫を噛んだような顔…って言えばいいのか…
辛そうな…顔をする…
「何で…俺の前に出た?」
ベンチに座る私は…
立っている藤原を…見上げる
『何でって…エレベーターでの話…思い出して…
藤原さんが…刺されると…思ったんです////そう、思ったら、体が反応しました!それだけです!!!』
私は、ゆっくり立とうとしたが…よろめく!
「!危ね〜な…」
よろめく体を、藤原は。両手で受け止めてくれた……
「…思い違いでよかった…」
藤原が…ボソッとつぶやいた……
『ホントですね…痛いの嫌だし…』
藤原は、苦笑いをして…
私を、支えた……
少し……藤原の手が震えていた気がしたが―――…
寒さのせいだと…私は思った―――――――――…