残業・メモ子
第62章 面影
『……芽依子…元気だった?』
『…はい』
久しぶりに会った母は…
相変わらず…
綺麗だった―――…
上品な顔立ち…人を引き付ける笑顔…
歳は取っていたが…
綺麗な年月を……感じた…
母は、私を見ると…瞳に涙を溜めて微笑んだ…
しかし…私は
そんな母に…引いていた…
嘘臭くて…
鳥肌すら…立っていた…
だって…本性は…
小学生の私に…男を取られたと…敵意を剥き出しにしていた…汚い女なのだから…
『会いたかった…
元気みたいでよかった…
ちゃんと食べてる?パパは元気?』
福島課長や…秘書の小野寺さんは…
久しぶりの親子の再開に…
微笑ましい光景を見ているのか…うんうん…と…感動していた…
私は微笑みながら…鳥肌を全身に立てた…
『心配しないで?』
と……うまく言えた―――…
が……藤原は…笑いを堪えていたし、大島は…心配そうにやり取りを見ていた…