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俺の幼馴染

第3章 SM掲示板

「美味しい。つか、なんで薫って家事出来るんだ?」

今ふと気になった。

文武両道ではあるが、少々怠けた印象のある薫が何故家事を熟せるのか。

「知りたい?」

少し考え込んだ表情をした後、薫は口元を緩めてにやけながら、一言俺に問いかけてきた。

知りたいから聞いたのに、聞き返されたということは何か意味がありそうだ。

「知りたいから聞いてるんだけどな。…聞かせてくれ。」

少しだけ屈辱感を味わったが、俺はそう薫に頼んだ。

「…よし。そんな彼方君に教えて差し上げましょう。」

上機嫌になった薫は、快く俺に教えてくれるそうだ。

早く聞きたいな。

なんて思いながら前振りを軽く聞き流していると、薫が本題に入ったので急いで耳を傾ける。

「…この手、見てみろ。」

何故か、意味不明な優しい表情をした薫が手を俺の方に差し出す。

言われた通りにその手を見ると、その手はひびやあかぎれでいっぱいだった。

…どういうことだ。

薫は家事が完璧じゃなかったのか?

「俺、元々家事なんて出来ねえの。結構背伸びしてた。」

「…何で、そんなになるまで…。」

何だか居た堪れない気持ちになって、眉間に皺が寄る。

「小さい頃から、世話になってたし。大切な幼馴染は危なっかしい奴なのに背伸びし過ぎてるから、俺が主夫やろうと思ったんだよ。

…結局、お前が放っとけなかったって訳。」

「そう、なんだ、ありがとう。」

照れ臭くなって、俺は頬を赤く染めながらそっぽを向く。

…そういえば、ここの寮で同じ部屋になるまで、こいつが家事してるところなんて見たことなかったな。

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