近くて甘い
第52章 未来のために
「痛そうだな…大丈夫?」
「へっ、平気です!毎日10回はどっかに身体をぶつけてるので、こんなの全然大したことないです!」
必死な加奈子に要は、フッと笑う。
「本当に、田部さんは危なっかしくて、見ていてハラハラするよ…」
「っ…すみませんっ…」
「出発するからシートベルトをしてくれるかな?」
「あっ、はっはい…」
「じゃないと、吹っ飛んでしまいそうだからね…」
っ……!?!?
クスクスと笑う要を見ながら、加奈子はムッとして、シートベルトを止める。
またからかわれたっ…
いくら、私がドジだって言っても吹っ飛ぶなんてことはないのにっ…
そんな不平を心の中で垂れながら、加奈子は未だに速まる自分の鼓動を感じていた。