近くて甘い
第52章 未来のために
様々な試練の中、要は必死で耐え抜いて生きてきた。
たとえ、目が見えなくなっても…
──────私は光瑠さんを愛していますっ…
愛する人に想いが届かなくても…
それでも、懸命に生きてきたのだ。
そんなある日、手元にあるはずのクッキーが無かった…
そして加奈子がプロポースされたことを聞かされ…
専門学校に行く、行かないの騒動で揉めていた真希と光瑠の仲を取り持ち、幸せな姿をまじまじを見せつけられ…
「……どうでも良くなってしまったんだよ」
「………」
「それが…理由かな…」
投げやりな要の答えに、加奈子の頬から涙が伝った。
どうでも良くて…
だから…
あの女性(ひと)にしたの…?
こんなにずっと想ってきて…
振られても、ずっとずっと想ってきたのに…。
どうでもいいと、そう思ったときですら、私は選ばれなかった──…