近くて甘い
第53章 Happy Birthday...
「「「きゃーーーーーーーー!!!」」」
甲高い悲鳴が、有川邸いっぱいに広がる。
目をぎゅっと瞑った光瑠は、片手で頭を抱えて項垂れていた。
「………光瑠さん?大丈夫ですか?」
「そんなことを聞いている暇があったら───」
「ねぇー!ケーキだよー!」
「痛いー!ゆうきくんが叩いたーーー!」
「きゃあーーーー!!」
騒ぐ小学生に光瑠は耳を塞いで真希のことを見る。
「いいからこいつを黙らせろ!!!!!」
「そんなこと、無理ですよ…」
必死な光瑠と裏腹、楽しそうに笑った真希は満足そうにHappy Birthdayの飾りを見た。
「隼人の誕生日会なんですし…これくらいの賑わいで…」
再びきゃあーーーー!!と悲鳴が聞こえたところで、光瑠はグッと歯をくいしばる。
これは賑やかなんていう良い状況では全くない!!!
「多少騒ぐのは覚悟していたが、なぜこんなにも悲鳴が──」
「ねぇねぇー!おにいちゃーーん」
「っ…な、なんだお前はっ…」