近くて甘い
第53章 Happy Birthday...
「隼人くん、あのね…」
そんな会話をしている最中、美咲ちゃんが隼人にニコニコしながら話掛けていた。
「うん、なに?」
「さっきのことなんだけどね?」
「さっきって…あ…」
ろうそくを吹き消す前も願い事のことを思い出した隼人、また照れくさそうにカァアと顔を紅くさせた。
「私、隼人くんとは両想いになれないからっ!」
「え…?」
え…。
突然の力強い美咲ちゃんの言葉に私も隼人と一緒になってポケっとしてしまった。
「私ね、いいなずけがいるの!」
「いいなずけ…ってなに?」
「うん、あのね、結婚するって決めてる人の事!」
がーーーーん。
まさにそんな音が聞こえてきそうなほどショックを受けているのが隼人の表情から分かった。
「だ…だれ…?」
辛うじてそう声を発した隼人に向かって、美咲ちゃんは、またニッコリと笑って、私と光瑠さんの方を向いた。
げ…。
ま、まさかっ…
「あのおにいちゃんっ!」
そう叫びながら、案の定美咲ちゃんは光瑠さんの事を指差していた──…