近くて甘い
第54章 恩返し
甦るあの日のこと…
真希に気持ちを伝えることなく真希のことを追い払った光瑠。
そしてただただその苦しみを酒で誤摩化そうとしていた光瑠に要は目を覚めせと怒鳴り込みにいった──…
そのお蔭で今がある…
ふっと笑った光瑠は隼人の頭を撫でながら、要のことを見つめる。
「拒絶されることを恐れていたら、前には進めない…」
「────…」
「気付いているのに、気付いていないフリをするのも
後悔が残るだけだ…」
ニヤリと笑った光瑠に気付いた真希は、その視線の先の要のことを見た。
「あ…っと…
だから…
お前は立派だったと、そう俺は言いたい」
あとから話を戻した光瑠は隼人の方に向き直ってその少年の身体を力一杯持ち上げた。
「だから、いつまでも拗ねるな。
前を向け」
「………うん…」
「分かったか?」
「うん…」
ようやく微笑みを見せた隼人に、周りも安堵の笑みを洩らしている中、雷に打たれたかのようにその場で固まったままの要に、真希が近付いて行った。
真希に気持ちを伝えることなく真希のことを追い払った光瑠。
そしてただただその苦しみを酒で誤摩化そうとしていた光瑠に要は目を覚めせと怒鳴り込みにいった──…
そのお蔭で今がある…
ふっと笑った光瑠は隼人の頭を撫でながら、要のことを見つめる。
「拒絶されることを恐れていたら、前には進めない…」
「────…」
「気付いているのに、気付いていないフリをするのも
後悔が残るだけだ…」
ニヤリと笑った光瑠に気付いた真希は、その視線の先の要のことを見た。
「あ…っと…
だから…
お前は立派だったと、そう俺は言いたい」
あとから話を戻した光瑠は隼人の方に向き直ってその少年の身体を力一杯持ち上げた。
「だから、いつまでも拗ねるな。
前を向け」
「………うん…」
「分かったか?」
「うん…」
ようやく微笑みを見せた隼人に、周りも安堵の笑みを洩らしている中、雷に打たれたかのようにその場で固まったままの要に、真希が近付いて行った。