近くて甘い
第57章 副社長はジェントルマン
━━━━━━━━━━━━━…
幸せそうな、でも、悲しそうな表情を見せる加奈子を前に、藍は、口を開けて立っていた。
「信じられない…もうそれなりの期間付き合ってるっていうのに…」
「やっぱそう思う…?」
「………う…ん…」
未だに、要副社長は、自分のことを抱かない──…
思い切って恥ずかしい相談をした加奈子は自分が思っていた通りの反応を示した藍をみてさらに沈んでいた。
自分には魅力がないのだろうか…
「で、でも、副社長ってなんか、そういうことに淡白なのかもよ…?」
「じゃあ…この前の不倫のことはなに…?」
加奈子にしては鋭い質問に、藍は言葉をつまらせる。
「ね…?やっぱ淡白って訳じゃないんだよ…。真希ちゃんには、勢いあまってキスだってしちゃうのに、私にはおでこだよ⁉︎ おでこ!」
ペシペシと自分の額を叩いた加奈子は、朝の記憶を蘇らせる。
唇にキスをしてくれたのなんか、わざわざ家まで追い掛けて来てくれて告白してくれたあの日だけだ。
はぁっと深いため息をついた加奈子の背中を藍を撫でた。
幸せそうな、でも、悲しそうな表情を見せる加奈子を前に、藍は、口を開けて立っていた。
「信じられない…もうそれなりの期間付き合ってるっていうのに…」
「やっぱそう思う…?」
「………う…ん…」
未だに、要副社長は、自分のことを抱かない──…
思い切って恥ずかしい相談をした加奈子は自分が思っていた通りの反応を示した藍をみてさらに沈んでいた。
自分には魅力がないのだろうか…
「で、でも、副社長ってなんか、そういうことに淡白なのかもよ…?」
「じゃあ…この前の不倫のことはなに…?」
加奈子にしては鋭い質問に、藍は言葉をつまらせる。
「ね…?やっぱ淡白って訳じゃないんだよ…。真希ちゃんには、勢いあまってキスだってしちゃうのに、私にはおでこだよ⁉︎ おでこ!」
ペシペシと自分の額を叩いた加奈子は、朝の記憶を蘇らせる。
唇にキスをしてくれたのなんか、わざわざ家まで追い掛けて来てくれて告白してくれたあの日だけだ。
はぁっと深いため息をついた加奈子の背中を藍を撫でた。