近くて甘い
第57章 副社長はジェントルマン
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有川商事社長、有川光瑠の秘書酒田は、長らくドアの前で佇んでいた。
「きゃっ…光瑠さんっ…」
中から聞こえてくる、二人の会話。
仕事の用があるのだが完全にタイミングを間違えた──…
毎度のこととは言え、酒田は大きく溜め息をついて、この状況をどうしようかを考えていた。
後にすればいいのかもしれないが…それはそれで後々社長に怒鳴られそうだし…かと言って、この状況の中に飛び込む勇気もない…
一体どうすれば…
ドアの前でウロウロとする酒田を、要は遠目から見ていた。
一体何をしてるんだろうか…
呆れた要が酒田に近付こうとしたところで、酒田は勇気を出して、そのドアをノックしていた。
「あ、あの、社長…会議の件で──…」
「ほっ、ほら光瑠さんっ…お仕事が」
ヒソヒソと話す真希の声を酒田は聞こえないフリをしていた。
「だまれ…決めるのは俺だ」
っ….そのセリフもまた筒抜けなんだが…っ
「今は手が離せない。後にしろ」
「は…あ…」
光瑠に力なく返事をしたところで、ちょうど要が近付いて来たのが見えて、酒田は慌てて頭を下げた。
有川商事社長、有川光瑠の秘書酒田は、長らくドアの前で佇んでいた。
「きゃっ…光瑠さんっ…」
中から聞こえてくる、二人の会話。
仕事の用があるのだが完全にタイミングを間違えた──…
毎度のこととは言え、酒田は大きく溜め息をついて、この状況をどうしようかを考えていた。
後にすればいいのかもしれないが…それはそれで後々社長に怒鳴られそうだし…かと言って、この状況の中に飛び込む勇気もない…
一体どうすれば…
ドアの前でウロウロとする酒田を、要は遠目から見ていた。
一体何をしてるんだろうか…
呆れた要が酒田に近付こうとしたところで、酒田は勇気を出して、そのドアをノックしていた。
「あ、あの、社長…会議の件で──…」
「ほっ、ほら光瑠さんっ…お仕事が」
ヒソヒソと話す真希の声を酒田は聞こえないフリをしていた。
「だまれ…決めるのは俺だ」
っ….そのセリフもまた筒抜けなんだが…っ
「今は手が離せない。後にしろ」
「は…あ…」
光瑠に力なく返事をしたところで、ちょうど要が近付いて来たのが見えて、酒田は慌てて頭を下げた。