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敢えて真希から視線を外しながら呆れた顔をしている要のことを、光瑠は不機嫌な様子で見つめいた。



「───邪魔をするな…。何をしようと俺の勝手だ…」



「馬鹿げたことをいつまでもいうのをやめてください」



要の言葉にギッと歯を食いしばった光瑠はすぐに力を抜いて、フッと笑った。




「関根…欲求不満か」


「………は？」


「まぁあのドジ女相手じゃ仕方ないだろうな…」



からかったつもりだったが、あの冷静な要が微かに目を泳がせたのを光瑠は察知して、大きく目を見開いた。




「関根……お前まさか…」



「…………なんでしょうか」


「ふっ……お前のことだから、紳士な対応、と、そういうわけか」




光瑠の察した言葉に要は僅かに瞳を開いた。


そんな要を愉快そうに見つめながら光瑠はニタニタしている。


そして、持っていた銀の包みをそのまま要のスーツに突っ込んだ。



「なんですか、これは──」


突然入れられた銀の包みを掴んで、ポケットから出そうとした要はチラと見えたその見覚えのあるそれに微かに顔を赤らめると、皆に見られないよう、静かにそれをポケットに再びしまい込んだ。



「関根…我慢は良くない…」



「───────…」




黙った要の横を光瑠は楽しそうに通って会議室に向かっていた。