近くて甘い
第57章 副社長はジェントルマン
余裕そうに、そう言ってのけた要に、加奈子はまたじわりと涙を溜めた。
下着姿になっても…
彼は襲ってもこない…。
真希ちゃんの時は抑えることが出来なかったのに…
なのに…
「おっと…っ」
突然加奈子に首に腕を通された要はそのまま少しよろめいて、加奈子と至近距離で見つめ合った。
「女としてみてないならっ…
見てくれないならっ…無理に付き合って下さらなくてもいいのにっ…」
加奈子は強引に要と唇を重ねようと、顔をさらに近付ける。
いつになったら想ってくれるんだろう…
いつになったら…
私の片想いは終わる…?
「好きです…っ
それは副社長がよく分かってると───」
次の瞬間、
突然天井が見えて、唇が塞がれた感覚に、加奈子は固まっていた。
そして、近くのデスクの上に押し倒されたのだということを、しばらくしてから気付いた。
「あっ…はぁっ…」
脳が痺れてうまく頭が回らない。
溶けてしまうのかもと思うほど舌が絡まって…
貪られているのがわかる。