近くて甘い
第57章 副社長はジェントルマン
「あっ…あっ…」
「っ……好きだっ…」
「っ…───」
普段見せない、乱れた要の姿に、加奈子は快感に飲まれながら、目を見張った。
なんて、綺麗なんだろう…
そう思わずにいられないほど、加奈子には要が妖艶に見えて仕方がない。
人を好きになって良かった…
片想いをやめなくてよかった…
じゃなかったら、
こんなに素敵な彼に、こんな風に情熱的に愛されることも、知らないままだった…──
「好きだっ…」
何度もふってくる要の言葉に、加奈子は、精一杯頷きながら、その気持ちを返すようにキスを求めていた。
深夜の有川商事───…
果てを向かえるまで、二人はその不器用な気持ちを互いに確かめ合っていた。