近くて甘い
第57章 副社長はジェントルマン
「あぁっ…」
「っ…く」
押し込まれる感覚に、目の前が弾け飛ぶ。
余裕なく喉を鳴らした要は、心とともに身体が満ち足りていくその感覚に、深く深く酔いしれていた。
これはまずい…
っ
大事に…大事に…
そう頭で何度唱えても、加奈子の中に締め付けられる感覚に、どんどんと理性がかけて、身体が狂っていく──…
「かなっ…めっ…ふくしゃちょっ…」
「……大丈夫…っ…?」
苦しそうに、要のことを呼んだ加奈子は、要の問いに、笑顔を見せていた。
「………うれし…ぃ」
微かに消えてきた加奈子のささやきに、要は顔を歪ませた。
有り得ないほど早く、血が身体を駆け巡っているのが分かる…
「大好きな副社長とっ…
やっとこうなれてっ…私っ…ああぁっ」
思わず揺さぶった要は、腰を折って加奈子の耳に舌を這わせた。
「幸せだよ…っ。
僕も──…」
快感から、加奈子の瞳から静かに涙が流れた。