近くて甘い
第59章 運命の悪戯
まぁ、そりゃびっくりするよね…。
私もここに運ばれてきて、「妊娠していますね」と言われたときは、本当にびっくりしたし…。
でも…──
「本当に自分勝手でごめんなさい…。自分で決めた進学だったのに…こんなことになって…それで、産みたいだなんて…」
「どっちだ…」
「え…?」
突然ぽつりと言葉を発した光瑠さん。
どうしたんだろう…。
やっぱり、私の気持ちがコロコロ変わるから…怒って──
「男だろうか…女だろうか…
いやまて…その前に、子どもということは…俺は親になる訳で…」
「ひっ、光瑠さん…?」
「俺が父親…」
ダメだ…完全に一人で話している…
「ここに…ここに…俺の子が…っ」
声を震わせた光瑠さんは、私のお腹を触って愛おしそうに撫でた。
喜んで…くれてるんだよね…?
「……産んでも…産んでもいいですか…?」
「あ?」
キッときつく睨みつけるような視線に、思わず身体が固まる。
「当たり前だろうがっ…」
「───…」
「それ以外の選択肢がある訳が──」
「ありがとうございますっ……」