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近くて甘い

第61章 近くて甘い

「こらっ…お嬢様っ…そんな乱暴にドアを開けては──」



「もぉ、うるさいなぁ!」


私よりも長身で、スラッと伸びた手足。



髪は黒髪で、肌は透き通るように白い。



古畑さんを振り切って元気よく入ってきた少女は、スタスタと私と光瑠さんの前まで急ぎ足で近付いてきた。




「おかえりなさい、望(のぞみ)…」




「ただいま!」




ニコッと微笑んだ顔は本当に光瑠さんにそっくり。


私と光瑠さんが結婚してから15年。


私たちの娘はこの前中学3年生になった。




「随分急いで帰ってきたな…」



光瑠さんは、ソファーから立ち上げると、望の両頰を優しくつねってひっぱった。




また…そうやって子ども扱いしてたら『やめてっ…!』って言われるのがいつものオチなのに…。





「……うん…!だって、お父さんに早く会いたかったからっ!」


「……おぉそうか…お父さんも早く望に会いたかった」





え……?






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