近くて甘い
第61章 近くて甘い
「やっぱり、今日は隼人が帰ってくる日だって、社長言ってましたもんね」
「えぇ…」
小さかった隼人ももうこんなに立派になって社会に出て働いている…
長い出張から帰ってきて、この1週間はここに泊まるのだ。
時が経つのは早い──…
───────────お姉ちゃん!
そうやって、私に甘えていた隼人はもう…
「お姉ちゃん!」
そういいながら私に笑顔を向けた隼人を、私は優しく見つめた。
やっぱり、いくら時間が経っても…
いくら年を取っても、
みんな中身は変わらない…
「おかえりなさい…」
「うん!どう?お腹の子は」
「元気だよ…」
この温かい輪の中にまた一人加わる…。
「お前こそ、元気にやってるのか」
未だに隼人を子供扱いするように、光瑠さんは隼人の頭をわしゃわしゃと撫でた。
「元気元気ー!あとは結婚出来れば俺の人生は完璧!」
「理想が高いんじゃないのか、お前は」
からかうように要さんが言うとへへッと隼人が笑う。
「お姉ちゃんみたいな人と…って思ってるとね、中々見つからないんだよ」