テキストサイズ

近くて甘い

第9章 青春の風が吹く

━━━━━━━━…

「え…?」


キョトンとしながら見上げてくる真希を見て、浩平は目を泳がせて慌てた。



勇気を出して言ってみたはいいけど、ちょっと突然過ぎた…

これじゃあ目的が別にあるのがバレバレじゃねぇかっ…!



「あっ…いや…っ…別に分かるならいいんだっ…突然ごめっ…」



バクバクする心臓を抑えながら、逃げるようにして自分の席に戻ろうとする浩平に、真希が待って!と声を掛けた。



「……吉岡くん…数学出来る…?」



期待の眼差しで見つめられ、ドキッと浩平の心臓が高鳴る。



「でっ、出来る!一番得意っ!!」



思わず力んだ声に周りがからかうように、クスクスと笑う。


浩平が真希のことを好きなのは一目瞭然だった。


気付いていないのは…


真希本人だけ──


ストーリーメニュー

TOPTOPへ