近くて甘い
第9章 青春の風が吹く
「愛花ちゃんサイコッー!大好きっ!!」
私は倒れそうになった梨子の自転車をすかさず掴んで、二人を見た。
愛花ちゃんは、困った顔をしながらも、梨子の言葉に照れ臭そうにしながら、顔を紅くしていた。
「あの…お聞きしたいことが一つ…」
「なになに?」
「そこに行くのは、梨子さん、真希さま、隼人さま、私…だけですか?」
不安な顔をした愛花ちゃんを見て、梨子がケラケラと笑った。
「愛花ちゃんてば、隼人くんまで様付けなんだー、ちょーウケるっ。」
しまった…
私と愛花ちゃんはギクッとさながら、あはははと引きつった笑いをした。
「うん、今のところね!亮と浩平呼ぼうかと思ったけどサッカー部の練習あるらしくてさ…」
「……なら、良かったです…」
なんでそんなことを聞いたんだろ…
ホッと胸を撫で下ろす愛花ちゃんを私と梨子が不思議に見ていると、梨子が、あぁー!と楽しそうに声をあげた。