近くて甘い
第13章 ヘタレの称号と神の恵み
「ごっごっごっゴールデンウィーク、映画とか行かねぇっ…?」
放課後、ようやく真希に声を掛けた浩平の心臓はもう今にも口から出そうなほど高鳴っていた。
やっと言ったのか…
周りからそんな視線が集まるなか、真希は一瞬キョトンとしたあと、両手を合わせた。
嫌な予感である。
「ごめんっ…ゴールデンウィークは予定があって…」
───────あぁぁ~このままじゃマジでまっきー売り切れるなぁ
亮の言葉が一瞬浮かんで、浩平は頭が真っ白になった。
「えっと…ごめんね、愛花ちゃんもなんだ」
固まる浩平を見て真希が付け加えると、浩平はアハッ、ハハと不自然に笑った。
「いやっ、ぜんっぜん大丈夫だから、気にすんなっ!ほんっと、何となく誘っただけだからっ!」
心で流れる涙。
良かった、と笑った真希は、じゃあ休み明けに。と言って黒髪を靡かせ去っていった。