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ブツりと電話が切れた後、光瑠と要は呆然と電話機の前に佇んでいた。


どちらも“吉岡”という名前には心当たりがある。


それも、よくない心当たりだ。



「あ、社長、副社長、ここにいらっしゃったんですね？」


ノックをしたあと、社長室に入った酒田はようやく二人を見つけて、緩く笑った。


ん……？
何か嫌な予感がする…



ただならぬ雰囲気で立ちすくむ、光瑠と要を見て、酒田は目を細めた。



「え…と…会議の時間が少しだけ早まりまして…」


「社長、あなたは知っていて、許可したんですか？」



は？



突然、要に話を遮られた酒田は眉をひそめて黙り込んだ。


何故か、光瑠の背中から、とてつもなくヤバいオーラを感じる。



「─────そんな訳があるわけないだろ…」



低すぎるその声は、かなりのご立腹のサインだ…


なるほど、と、同じように不機嫌そうに言葉を返した要は、訳が分からず突っ立ったままの酒田を見つめた。



「酒田、」


「は…い…」


「車を下に回してくれ」