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近くて甘い

第16章 サプライズッ!

車?


「今…ですか?」


慌てて酒田が尋ねると、光瑠と要がほぼ同時にジャケットを掴んだ。



「そう、今…。今すぐだ!」



キッと光瑠に睨まれて、酒田は微かに身体が震えるのが分かった。


「でっ…ですがっ…会議がっ!」


スマホを取り出して、何やら検索し出した要は、顔を上げて光瑠を見た。



「渋滞の様子からいって、今から出て、着くのは早くても夜の7時になります」


「すぐに出るぞ」


「そうですね」



今から出る?
着くのは7時?


って?


「社長、居場所は分かるんですか?」


「あぁ、隼人のカバンにGPSを付けさせた」


「ふっ…流石です」



いつも対立しているこの2人が協力しあっている様子が奇妙で仕方がない───


「酒田!車を呼べと言ってるだろうが!」


「待って下さいっ!一体どこにっ…」



慌てる酒田の肩に要が手を乗せた。



「ゴールデンウィークだ。休暇を取るぞ」


「……はぁ? ですからどこにっ!」



決まっているだろう────


要がそうつぶやくと、今度は光瑠が酒田のもう片方の肩に手を乗せて口を開いた。



「─────八ヶ岳だ…」

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