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辺りを見回した要は、涙を拭う愛花を見付けて近付いた。



要と目が合うと愛花は慌ててぺこりと会釈をした。




「───君も、ここにいたんだね…」


「あっ、はいっ…」



少し周りから見えないところに彼女を誘導させた要は、腕を組んで、愛花を見た。



「どうして真希さんは社長の事を隠していたんだ？」


「あっ…それは…」



恥ずかしそうに俯いた愛花の顔を要は覗き込んだ。



「普通の高校生活を送りたいからって…真希様はそうおっしゃってました…それに…私の事も気にかけて下さって…」


「私の事…？」



コクンと頷いた愛花は、また目に涙を溜めて、小さく泣き始めた。


困った…



まるで泣かせてしまったような気持ちになった要は少し困惑した顔をすると、ジャケットからハンカチを取り出して、愛花に差し出した。



「別に言いたくないならいいのだけれど…」


「すみませんっ…あのっ…そうじゃなくてっ…」



ハンカチを遠慮した愛花は手の甲で涙を拭うと、ふぅと小さく息を吐いた。