近くて甘い
第17章 社長夫人は高校生っ!
要は、どんな事情があって、愛花が有川邸にいるのか知らない。
まだ17歳の少女。
真希と違って少し幼い顔である愛花には特にまだ少女であることを感じる。
大人であっても、社長と対峙することは、難しいのだから、きっとこれまで多くの苦労をしてきたに違いない。
そんな事を思いながら、要は、愛花に微笑んだ。
「ものすごい渋滞だったんだけれど、真希さんが気になりすぎて、ノンストップでここまで来たんだ…」
「……分かりました、今メニューをお持ちします…」
クスりと愛花は笑うと、深々と要に頭を下げて、その場を後にした。
めそめそなんかしてられない…
孤児であることをこれまでとても負い目に感じて来たけれど、もしそうじゃなかったら、真希さまにだって出会えなかったんだから…
少し元気を取り戻した愛花は、両手で拳を握って、自分を奮い立たせた。