テキストサイズ

近くて甘い

第17章 社長夫人は高校生っ!

━━━━━━━━…


冷たい風が、身体に染み渡る。


訳も分からず飛び出した私は、外の階段に腰を下ろして、ため息をついた。


こんなはずじゃなかったのに…



「ああ〜いたぁ…」


「梨子っ…」



どんな顔すればいいのっ…?
こんな風に梨子に知られたくなったのに…


「突然消えないでよっ!」


ぽんっと背中を叩かれて、少し拍子抜けしながら、私は梨子の事を見つめた。


お店から漏れる微かな灯りでしか、表情は見えないけれど、決して怒った表情でないことに、少し戸惑った。



「めっちゃイケメンだね」


「え?」


「婚約者。何だっけ、光瑠さん?だっけ」


「あ、うん…」


「名前ぴったりすぎてウケるっ」



けらけらと笑った梨子の横顔を私はじっと見つめた。



「怒ってないの…?」


ずっと黙ってたのに…
ずっと隠してたのに…



「なんで怒るの?」


「えっ…だって…」


「怒んないよ、婚約ってめでたいことじゃないの?確かにぶっ飛んでるけどさ」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ