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近くて甘い

第20章 万能の王子

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ルンルンな気持ちと


ずっしりと沈む気持ち。


その両方を同時に抱える事もある。



私はまさに今そんな気分で、学校帰り、そのまま有川商事に向かっていた。



「あっ!真希さん!」



社長室まで後少しの所で、酒田さんが声を掛けて来て、私は慌てて頭を下げた。


もう何度もこの会社には来ているけれど、高校の制服でここにいることにはまだ違和感を覚える。



「あの…光瑠さんは…部屋にいますか?」


「今、他の企業の方が来ていて…」


「あっ…そうなんですかっ…」



どうしよう、このままこの廊下で待っているっていうのも、何だか邪魔になってしまうような気がする…



「真希さんが来たら、会議室で待たせておくようにと言われていますので、どうぞこちらへ…」


「すみません…ありがとうございます!」


にこりと微笑んだ酒田は、いえいえと言って私を誘導してくれた。


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