近くて甘い
第20章 万能の王子
━━━━━━━━━…
田部 加奈子さん。
クリクリとした大きな目に、胸くらいまでのナチュラルな茶色い髪。
かわいらしい人…
そんな事を思いながら、私は書類を拾っていた。
もぉ…光瑠さんは何やってるのっ!?
どうせ偉そうにしながら、書類を拾う私たちを後ろから見ているのだろうと思って、振り返ろうとしたら、要さんがハハハと笑って、田部さんに手を伸ばした。
「田部さん?髪思いっきり食べてるよ」
「ふぇっ!? ちょっえあぁっ!うそっ!」
慌てる田部さんに、要さんは微笑みながら口の中に入ってしまっている一束の髪を掴んで優しく払った。
「きゃぁっ!そんなっ…すみませんっ…」
顔を真っ赤にする田部さんを見ながら、私は少し、ドキリとした。
田部さん、要さんの事…
好きなんだ───
「いえいえ」
笑った要さんに、田部さんは更に真っ赤になった。
「大助かりですっ!もう本当に幸せですっ!」
「ふっ…なんだそれはっ…」
楽しそうに笑う要さんに私は少し狼狽えながら、書類を拾うことに専念することにした。
田部 加奈子さん。
クリクリとした大きな目に、胸くらいまでのナチュラルな茶色い髪。
かわいらしい人…
そんな事を思いながら、私は書類を拾っていた。
もぉ…光瑠さんは何やってるのっ!?
どうせ偉そうにしながら、書類を拾う私たちを後ろから見ているのだろうと思って、振り返ろうとしたら、要さんがハハハと笑って、田部さんに手を伸ばした。
「田部さん?髪思いっきり食べてるよ」
「ふぇっ!? ちょっえあぁっ!うそっ!」
慌てる田部さんに、要さんは微笑みながら口の中に入ってしまっている一束の髪を掴んで優しく払った。
「きゃぁっ!そんなっ…すみませんっ…」
顔を真っ赤にする田部さんを見ながら、私は少し、ドキリとした。
田部さん、要さんの事…
好きなんだ───
「いえいえ」
笑った要さんに、田部さんは更に真っ赤になった。
「大助かりですっ!もう本当に幸せですっ!」
「ふっ…なんだそれはっ…」
楽しそうに笑う要さんに私は少し狼狽えながら、書類を拾うことに専念することにした。