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近くて甘い

第20章 万能の王子

田部さんとは何でもないって言っていたけど…

何だかこんなに楽しそうな要さんを見ると、本人が気付いてないだけなんじゃないという気がしてくる…


田部さんも悪い人じゃないし、

少しだけ複雑な想いはあったけど、彼女となら幸せになれるんじゃないかと思った。



「ったく!いつまでそんな事をしているんだっ!! あとはそのドジ女にやらせておけばいいだろうがっ!」



案の定、偉そうな光瑠さんの声が聞こえて来て、私は、はぁ…とため息をついた。



「…最低……」


「っ!? おい真希っ!今なんて言ったっ!」



段々良くなって来ているとは言っても、まだわがままだし、人を思いやる気持ちが光瑠さんには足りなすぎる。


私と光瑠さんは、ある程度年の差があるっていうのに、そんなことはみじんも感じさせないほど、彼は、子供だ。




「最低って言ったんですっ!!!!」


「っ…ふざけやがってっ…まだ高校生のガキのくせにお前に会社の何が分かるっ!」


なっ…
何それっ…!!!


「光瑠さんの方がガキのくせにっ…!」


ピクッと光瑠さんの眉毛が動いて、ぐんぐんと近付いて来た。


そうやって力で物を言わせようとするのは人として最低だ。


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