近くて甘い
第21章 チョコレートは魅惑の味…
「そこは、sがいりますよ」
「そう…だった…っ」
しばらくした頃の事だった。
「っ…はぁ…っ…」
隣に座っている真希の息遣いが少し苦しげになり出して、要は教えるのを中断して、背中に手を当てた。
「ひゃっ…」
「?真希さん…?」
ビクンと飛び跳ねた真希の身体。
具合でも悪いのだろうか…
心配になった要は真希の顔を覗き込んだ。
上気した頰…
艶かしくとろけそうなその瞳…
トクンと心臓が鳴った要は無意識に真希から視線をそらした。
「……何か…飲み物を…」
きっと疲れたのだろう…
立ち上がった要は、少し遠くにおいてある湯呑みを掴んだ。
「っ……」
不意に、自分もクラっと目眩がして、机に手をついた。
おかしい…
寝不足だろうか…
崩れるように座った要は片手で顔を覆った。
何だか異様に身体が熱い──…
「はぁっ…」
変だ…
自分も熱があるのだろうか…
「あつい…」
「っ…」
身を崩すようにして、要の方に寄りかかって来た真希を支えながら、その感触に異常なほど身体が反応してしまう…