近くて甘い
第21章 チョコレートは魅惑の味…
要が去ったのを確認した光瑠は振り返って香純を見た。
「いい加減なことを言うな」
「いやっ…でも確かにっ…」
「あいつはむかつくやつだが、そんな事をするようなやつじゃない」
不満そうに俯く香純。
計画に抜かりはなかったはずなのにっ…
「俺はあいつを信頼している。今度虚偽の報告をしたら、お前を首にする」
「っ…申し訳…ありませんでした」
渋々頭を下げた香純を見て、光瑠はため息を付いた。
こういうとき、真希に社員には優しく接しろと言われたのを思い出して、少し戸惑ってしまう…
「もういい。仕事に戻れ」
ぺこりと頭を下げた香純は、下唇を噛んだまま自分のデスクへと戻って行った。