近くて甘い
第22章 疑惑の二人
「真希、歩き方変じゃない…?」
「へっ…?」
席に着くなり、梨子にそう指摘されて、私はビクンと身体を震わせた。
「変って…どう変なのっ?」
おどけてみせるが、梨子は見透かしたようにニヤリと笑って、私に顔を近付けた。
「うらやましぃ〜なぁ〜あんなイケメンと…」
「ちょっと梨子っ!?!?」
「うわっ真っ赤になっちゃって…やらしぃ〜〜」
ふざけながら、頬に手を当てて私の反応を楽しんでいる。
私は、何も言えないまま、すぐに立ち上がったけれど、あまりの腰の痛みに、小さく悲鳴を上げて、座り込んだ。
最悪…っ…
恥ずかしくて涙が出そうな私を梨子はやっぱり面白そうに見ていた。
「どんだけ激しいの…」
「っ…やめてよっ!」
「いいじゃん!恋も知らなかった真希がまさかそんなエッチしすぎで──」
「梨子っ!!!!!!」
急いで、彼女の言葉を遮ったら、一気に周りにいた人たちが私を見て来た。
もぉ…声が大きいよっ!
「ウケるっ!」
ケラケラと笑う梨子の事を見ながら、私は大きくため息をついた。